So-Men


The Chemistry Of Common Life / Fucked Up (2008)

なんだか自分の中で食に対するこだわりはないようでやっぱりあって、その(価格)限界ぎりぎりのラインを下回るとどうしても許せなくなるのです。「そうめんほど価格と味が比例する食べ物はない」とは先日某掲示板で見かけた言葉なのですが、これはまさしく金言だと思います。一人暮らしをしている以上エンゲル係数にどうしても気を使ってしまうし、ほかの出費に充てたいがために食費を削るのは往々にしてよくあることです。そしてそれはその中で食料の価格設定における自分が許容できる限界のラインを見極めていく、という客観的に見れば実にスリリングなゲーム的要素を孕んでもいます(そのプロセスは楽しいものではありませんが。つまり、「うーんもっと自由にお金を使いたい!」)。

そうめんは高くなればなるほど細くなっていきます。これは事実です。そして、そうめんは細ければ細いほどおいしいのです。僕はうどんが一番好きな食べ物なのですが、うどんはどんなに悲惨なものであろうと、どんなにうどんヒエラルキーの最下層に位置しようとも、そんなに苦にはなりません。ところが安いそうめんは違います。ほんとうにまずいのです。なので、貧乏虫だった十代の頃の自分なら100均のそうめんに甘んじていましたが、最近は生協ブランドの島原そうめんを買っています。300gで178円です。これもこれで安いのですが、こと価格が味に直結するそうめんですので、この78円の差が実に大きいのです。

さて、ここから音楽の話に強引に繋げようと思ったのですが面倒くさいので普通にいきます。

メディアに激賞された昨年発表の"David Comes To Life"も記憶に新しいファックト・アップという放送禁止用語をでーんと掲げたカナダはトロント出身のハードコア・パンクバンド。
日本の感覚で言うとINUの前身バンド「腐れおめこ」みたいな感じでしょうか。そういえばローリー寺西のバンド「すかんち」は「チ○カス」のアナグラムでしたね。

「ケミストリー〜」は宗教哲学・人間の生と死と根源をテーマにしたおよそハードコアバンドには似つかわしくないコンセプト・アルバムで、歌詞を抜き出してみて曰く、「ただ生まれてくるだけでもつらいのに もう一回生まれてきたいなんて誰が願うものか ここまで来るにも これだけかかった もう一度生まれてくることのどこに意味があるんだ
こういう内省的かつメタファーに富んだ詞をウォール・オブ・サウンドばりの轟音テクスチュア・ギターに乗せてデブのおっさんが咆哮するのです。

最初に聴いた時にまずイメージしたのがハスカー・ドゥでした。つまりハードコアを下敷きにしつつさまざまな音楽と一緒に大鍋に放り込んだような音です。非常に曖昧な表現をするならばオルタナ的とも言えます。
パンクというバックグラウンドがありつつもその解釈がかなり柔軟かつポップなのでハードコアアレルギーでもすんなりいけるアルバムだと思いました。
巨漢ボーカリストPink Eyeの歌い方は唯一濃厚にハードコアのエレメントを感じさせるものですが、クセは確かに強いので苦手な人は苦手かもしれません。

フジロックでの来日も決定し、ライブは流血・暴動沙汰が日常茶飯事であるとのことなので、期待しています。

Fucked Up-Black Albino Bones

Husker Du-I Apologize